山勉EX〜雪崩シュミレーション〜 02.3.19   text by coba

今年度山勉では机上、雪上勉強会で雪崩のメカニズム、ビーコンの操作、弱層テストなどについて学んできました。

これで山に安心して出れると考えたらまだまだ十分でありません。事故後の搬送や救急蘇生など習得しなければならないことは、まだまだたくさんあります。そのための山勉であり、イベント表にもある通り、今後さまざまなプログラムをたてました。

今回のExtraで扱う学習内容は、机上、雪上で学んだことを一連の動きの中で実行してみる、いわば捜索シュミレーションです。実際のバックカントリーのフィールドで実際の捜索と同じ条件で動いてみるということが主眼です。なぜ今回、Extraと称しシュミレーションをすることになったかというと、事故時にパニックなるなか、いかにスムーズに捜索活動に入れるかということを考えると、やはり練習の反復が重要だと考えました。しかし、雪上勉強会では断片的な項目の習得に時間がとられがちでよりリアリティーを求めた練習はできません。練習の反復を自分の行動の礎にするならば、よりリアリティーが求められるわけで、そんなよりリアルな練習をする機会を設けたいと考え、実施しました。それではその様子を報告します。

集合は月山周辺の広場。さすがは月山、まだまだ冬ですな。しかし例年よりだいぶ積雪量が少ない。今年のざらめシーズンは短そう。まずは、幅30メートル、長さ250メートルの斜面を踏む。

ここからはシュミレーション。高村氏が人数や装備などの状況設定をし、雪崩発生地点近くを行動中の我々に救助要請が来るところからスタート。スタート時点では情報はゼロにした。

リーダーが荒走りし、大体のポイントを指定後、そこを捜索部隊が掘り出す。その間、リーダーは、他の埋没者の特定に走る。

埋没者を探すにはビーコンのみではない。遺留品も重要なヒントになる。また地形も大きなヒントだ。

デブリ付近はもちろん、雪崩の滑走面のなかに、平らになる部分があったら要注意だ。

そこにいる可能性もある。

埋まっている地点が深ければ当然ピンポイントにならない。その時どう動くかも重要。すぐゾンデでつつくのか?めぼしい辺りを掘り下げてみてよりピンポイントに近づけてからゾンデを刺すか?ケースバイケースではあろうが・・・。

この左の写真は、今回の練習の中でもなかなかのセクション。

手前の木に遺留品。奥にもストックが。手前の遺留品のそばでビーコン反応がありビーコンが見つかるも、近くに体がない。というような感じ。

でもすばやく遺留品の間をゾンディングして体を発見した。

いろんな状況設定ができるのだ。

捜索シュミレーションをやってみて、このシュミレーションの重要さを痛感した。ビーコンを持ってビーコンを探す。この練習はすぐでき、うまくなる。しかし、実際の捜索にはさまざまな状況が考えられ、またビーコン以外の情報源もある。それらを頭で考え行動することはなかなか練習できない。また穴を掘ることの大変さ、難しさは相当なものだ。ただ体を発見して呼吸空間を確保しても円錐状に掘ったのでは搬送に移れない。搬送まで考えたなら、体以上の穴が必要だ。また二人ほぼ重なって埋まっているセクションでは、一人確保したら、もう一人は重なっていることを考えずすぐ他の場所に捜索に走るなんて事も起きた。やはり常にあらゆる状況を想定できなければならない。

今回のシュミレーションでは3人巻き込まれる状況をやったが、21分から30分かかった。これでは目標より遅い。課題が山済みだ。今後も精進ですな。同内容を春山実地でも行います。